安倍晋三新総裁誕生2 首相交代と健康問題

新総裁になられた安倍晋三先生ですが、首相時代、志半ばで辞職されました。
腸の病気ということでしたが、体調不良で首相の職責を投げ出したという厳しい批判を受けました。
政治家たるもの命をかけて職責を全うすべきだというご意見、体調に危うさがある人が責任ある立場ではいけないなど、様々なご意見があります。
それぞれ、一般論としては、私も納得するご意見だと思います。
しかし、安倍新総裁の場合は、これらのお話は当てはまりません。ここからは一人の医師として、ちょっと専門的かもしれませんが、お話させていただきます。
前回、首相を辞めた時の映像を見て頂けば分かりますが、今とだいぶ、顔色が違いますね。
それもそのはず、安倍先生の病気は、潰瘍性大腸炎、難病です。
潰瘍性大腸炎は、大腸に原因不明の潰瘍(キズ)が出来るために出血、下痢などを来す病気です。また、炎症性疾患ということで、言わば常に高熱が続いているのと同じ状態で、常に体力を奪われながら生活しなくてはならないという病気です。国内患者は10万人を超えていて、毎年5000人ずつ増えているようです。原因が不明なことから厚労省の『難病性疾患克服研究事業』に指定されています。
医者からすれば、この状態で良く仕事をしていたなと思います。
突然に発症する脳梗塞や心筋梗塞と違い、炎症性疾患ですから24時間365日の問題であり、あのまま仮に命をかけて首相を続けていても、良き政権運営はできなかったでしょう。それなら替わった方が良いと考えるのも一つの選択肢だったと思います。
しかし、そんな状況は変わってきています。
当時の治療の中心的役割をする薬は、「ペンタサ」でしたが、問題は潰瘍性大腸炎の主要病気大腸までいかずに、胃や小腸で溶けてしまうことがあるということでした。しかし、2009年12月に、口から飲んだ薬が途中の胃、小腸で溶けずに大腸で溶けるようにコーティーングされた薬「アサコール」が発売され、2010年1月から長期処方が可能になったことで、飛躍的に症状の改善が見られる患者さんが増えています。
新薬と聞けば心配かもしれませんが、ペンタサの有効成分「メサラジン」は同じで、薬の溶け方を改良した薬が「アサコール」です。日本では、新たに認可されたので取り扱い上は新薬ですが、海外では15年以上前から使われている薬です。
この薬で寛解状態をしっかりと維持できているのであれば、今度こそ力を100%発揮できるはずです。
少しマニアックでしたが、病気と政治家の問題は重要ですから、皆さんも知って頂きたく書かせて頂きました。