蒲郡IC~豊川為当ICの開通により、ついに国道23号名豊道路が、令和7年3月8日に全線開通を迎えます。
半世紀にわたる構想と建設を経て、名古屋と豊橋を結ぶこの重要な幹線道路が、全区間での接続を果たします。本記事では、これまでの開通状況や全線開通による効果、そして今後の4車線化に向けた展望について分かりやすくお伝えします!
名豊道路の開通状況
国道23号名豊道路は、名古屋市と豊橋市を結ぶ全長72.7km、沿線の8市1町を通過する大規模バイパスです。これまで、地域の交通需要や道路ネットワークとの連続性を考慮して段階的に整備が行われてきました。5つのバイパス(知立[ちりゅう]、岡崎[おかざき]、蒲郡[がまごおり]、豊橋[とよはし]、豊橋東[とよはしひがし])で構成されています。令和7年3月8日、蒲郡IC~豊川為当ICの開通により、名豊道路の全線開通を果たします。
▼これまでの活動については、こちらの記事で詳しく解説しています。
【国道23号名豊道路 蒲郡バイパス】2024年度いよいよ全通! |
全線開通による効果
モノづくり産業を支える大動脈、名豊道路
三河港への完成車や自動車部品の物流を担っている、名豊道路。
名豊道路に直結する三河港は、完成自動車を含む機械類および輸送用機器が、輸出額の約97%を占めています。完成自動車の輸出台数は名古屋港に次いで全国第2位。全国を代表する完成自動車の輸出港です。
名豊道路が全線開通することで、どのような効果があるのでしょうか?
①輸送時間の短縮
【現状】豊田市にある自動車組み立て工場から三河港への完成自動車の輸送時間は、往復で185分、2往復の輸送回数。
【全線開通後】往復150分に短縮、3往復することが可能になります。全線開通の実現により、トラック回旋可能数が増加し、これにより輸送コストが約1割削減されます。名豊道路の整備により物流効率化、生産性の向上が期待されています。
②日本経済を牽引
約720箇所の自動車・同附属品製造業の事業所が、名豊道路沿線に位置しています。
【製造品出荷額等】名豊道路整備開始前である昭和44年、名豊道路沿線の製造品出荷額等は8000億円でした。これが名豊道路の整備を開始以降、年々増加し、令和4年には約12倍にあたる9.7兆円まで増加しました。
【従業者数】昭和44年、名豊道路沿線の製造業の従業者数は16.7万人でした。名豊道路の整備を開始し、令和4年には約3割増、21.4万人にまで増加しました。
名豊道路の整備を見越して、沿線地域に新たな工業団地等が計画され、自動車関連企業が進出しています。更なる民間投資に期待が寄せられています。
③ 地域活性化
全国5位の野菜出荷額、全国1位の花き産出額を誇る愛知県。全国的にも農業が盛んですが、特に名豊道路沿線には多くの卸売市場や農産物出荷場が分布しており、愛知県内の野菜出荷額の約7割、花き産出額の約8割を占めます。
全線開通により、新鮮な農産物をこれまでより早く市場へ届けることが可能になります。鮮度が保たれ、荷痛みも抑えられるため、納品先からのクレームが減少すると、評価の向上が期待されています。
また、観光や地域産業の振興にも貢献します。
4つの温泉地が広がる「がまごおり温泉郷」、県内有数のリゾート施設「ラグーナテンボス」、全国トップクラスの生産量を誇る「西尾の抹茶(てん茶)」など、観光客や流通のアクセス向上により、地域の魅力をより多くの人に知ってもらう機会が増え、観光業の活性化や特産品の販路拡大にも大きく寄与すると期待されています。
④ 災害に耐える強靭な命綱としての期待
三河地域の沿岸部は、南海トラフ地震、東海・南海・東南海の3連動地震発生時による津波被害が懸念される地域です。
名豊道路は内陸部を通るほか、津波の影響を受けにくい高架橋などで整備されており、大規模災害時には迅速な救援・救護活動や人員・物資輸送の要となる、広域支援ルートとしての役割が期待されています。
参考:半世紀のときを経て名豊道路が全線開通します!蒲郡BP豊川為当IC~蒲郡IC令和7年3月8日(土曜)開通/豊川市
4車線化に向けた取り組み
現在、名豊道路は暫定2車線での全線開通となりますが、今後の交通需要や安全性向上の観点から、4車線化工事が進められています。
4車線化による効果
4車線化が実現すると、交通の流れがスムーズになり、移動時間の短縮が期待されます。
実際に、西尾東IC~藤井IC間の4車線化により、岡崎バイパス(幸田芦谷IC~安城西尾IC間)の所要時間が、昼間の全ての時間帯で大幅に短縮されました。上り(豊橋方面)は開通前最大24分かかっていたところ、開通後は15分となり最大9分の短縮。下り(名古屋方面)では開通前最大34分だった所要時間が15分となり、最大で19分短縮されました。
これにより、通勤・通学の利便性が向上するだけでなく、物流の効率化や観光振興にも大きく貢献します。
名豊道路沿線では、地域振興や防災、産業発展の観点から、さらなる交通インフラの整備が求められています。
令和元年に開業した道の駅「とよはし」は、観光拠点としてだけでなく、令和3年には防災道の駅に選定され、災害時の支援拠点としての機能を強化。緊急時の迅速な物資輸送や避難支援が可能になります。
また、新たに2つの工業用地が稼働し、物流量が増加。生産拠点の拡大とともに、地域経済の活性化が期待されています。
4車線化の工事状況
名豊道路のうち4車線化済みは31.3kmで、今回の開通区間を含めても残りは暫定2車線のままです。特に交通量の多い区間では、渋滞の緩和や安全性向上のため、早期4車線化を求める声が高まっています。さらに、全線開通により交通量のさらなる増加が予想されるため、早期の全線4車線化が不可欠です。
この課題に対応するため、地元自治体や関係者と連携し、国への働きかけを続けてまいります。
まとめ
名豊道路の全線開通により、物流の効率化、地域経済の活性化、観光振興など、多方面での効果が期待されています。
▼これまでの活動について、詳しくはこちらの記事をご覧ください。
【国道23号名豊道路 蒲郡バイパス】2024年度いよいよ全通! |
一方で、現在の暫定2車線区間では、交通の流れのさらなる円滑化や安全性向上が求められており、4車線化により移動時間の短縮や物流の安定化、災害時の迅速な対応が可能となることが期待されています。
各方面から早期の全線4車線化を求める声が寄せられており、より快適で安全な道路環境の実現に向けた取り組みが重要となっています。
地元自治体や関係機関と連携しながら、1日でも早い全線4車線化の実現に向けて取り組んでまいります。
引き続き、名豊道路の発展にご注目ください!
詳しくは国土交通省ホームページをご覧ください。
国道23号名豊道路|事業紹介|国土交通省 中部地方整備局 名四国道事務所