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【自動車産業の新常識キーワード】『CASE』を解説
2023-10-29

【自動車産業の新常識キーワード】『CASE』を解説

自動車産業で世界的に広く使われるようになっている「CASE」

今回は、この「CASE」について、国会議員・今枝宗一郎が簡単に、わかりやすく解説します。

CASEの実現によって自動車産業のみならず私たちの暮らし、その他産業、環境が大きく変わる可能性があります。

この記事を読むことで、CASEの意味や注目されている理由、メリットや実現までの課題などを理解することができます。

ぜひ一緒に学んでいきましょう!

↓こちらの動画でもわかりやすく解説しています
YouTube:【車好きは必見】車の常識が変わる !? 未来のキーワード『CASE』について分かりやすく解説します!

 

CASEとは何か?

CASEとは「Connected(コネクテッド)」「Autonomous(自動運転)」「Shared&Service(シェアリング)」「Electric(電動化)」の頭文字をとった言葉です。

これらは自動車産業の未来を形作るキーワードとなっています。

CASEというキーワードは、現在、日本だけでなく、世界的に広く使われるようになっています。

もとは、ディエター・チェッチェ氏という実業家が、2016年のパリモーターショーにおいて、中長期戦略の説明のために使ったのが始まりだといいます。

(ディエター・チェッチェ氏は、ドイツの自動車メーカー、ダイムラーのCEOで、かつメルセデス・ベンツの会長です。)

今や自動車産業における重要なトレンドを象徴する言葉となっているCASE。

車両同士やインフラとの連携、自動運転技術、モビリティ(乗り物)の共有化サービス、そして電動化。

それら全ての領域において、技術の進化を象徴するキーワードとして、業界を越えて広く使われています。

自動車のインパネ

◦Connected(コネクテッド)

まず、「CASE」の「C」が表す「Connected=コネクテッド化」。

これは、車両同士や周囲の道路状況、信号などのインフラを通信機能を用いて、相互にデータ連携を行い、安全性や効率性、利便性を向上させようという考え方のことです。

日本の大手通信業者も自動車メーカーとの協業を進めています。

例えば、エアバッグの作動や車両に搭載されているセンサーが事故を検知すると、自動で警察や消防に通報する「eCall」というシステムやがあります。

他にも、ドライバーの走行データに基づいて保険料を個別に設定する「テレマティクス保険」が実用化されています。

また、インターネットに繋がったカーナビで、さまざまな情報へのアクセスや動画視聴等のエンターテイメントサービスが車内で利用可能になることも、コネクテッド化の恩恵と言えます。

 

◦Autonomous(自動運転)

続いて、Autonomous(自動化)。

自動運転技術の進化により、運転者の負担を軽減し、交通事故のリスクを低減します。

こちらについては「自動運転レベル4」について解説した別の記事や動画がありますので、ぜひチェックしてみてください。

↓自動運転レベル4についての記事はこちら↓
注目のキーワード解説:【日本初】自動運転『レベル4』解禁へ 運転操作から解放される高度運転自動化とは?

◦Shared&Service(シェアリング)

CASEの「S」は、「Shared=共有化」、あるいは「Service=サービス」を指します。

車両を所有せず、共有利用するトレンドのことを意味します。

日本においても、レンタカーや「タイムズカーシェアサービス」のような事業者が、車両ごと利用者に貸し出す「カーシェアリング」が広く普及し、身近になってきていると思います。

利用者は必要なときにだけ車両を利用できますから、車両を保有することで生じる税金やメンテナンスなどのコストを削減できます。

また、社会的な観点からみても、交通渋滞の解消や、地球環境への貢献が期待できるトレンドです。

しかし、あまりにもカーシェア利用が増えてしまうと、どうなるでしょう。

車両製造側が「車両を作らなくていい」「あまり製造販売しなくていい」と判断するようになってしまう問題が懸念されます。

◦Electric(電動化)

最後に、CASEの「E」は「Electric=電動化」を指します。

昨今、電気自動車の普及により、CO2排出量の削減が期待されているのはご存知の方も多いかと思います。

しかし、単純に電気自動車が普及すれば事足りるわけではないので、注意が必要です。

実際、海外においては電気自動車の普及が進んでいる実態があるものの、日本ではどうするのかが大きな課題となっています。

CASEとMaaS

さらに、「サービス」の観点について、CASEと関連性の高いMaaS(Mobility as a Service)というキーワードに言及しておきます。

MaaSとは、地域住民や旅行者一人一人のトリップ単位での移動ニーズに対応して、複数の公共交通やそれ以外の移動サービスを最適に組み合わせて検索・予約・決済等を一括で行うサービスのことです。

観光や医療等の目的地における交通以外のサービス等との連携により、移動の利便性向上や地域の課題解決にも資する重要な手段となります。

Maasを利用することで、例えば「医療MaaS」という、医者が車に乗って移動して診療するような診療方法が考えられます。

他にも、教育MaaSという、教師が車に乗って、場所を選ばずに教育できるような環境をつくることも可能でしょう。

自動車開発の方向性を示す「CASE」に対し、新しい移動の概念である「MaaS」は、これから色々な可能性が開けてくる分野として注目されています。

MaaSとは
参照:日本版MaaSの推進|国土交通省

このように、自動車業界のトレンドを示すCASE。

自動運転や電動化などの意味合いも含まれている総合的なキーワードとして捉えてみてください。

CASE実現に向けた課題とは?日本の自動車産業の実態

しかし、「日本の自動車産業は海外のトレンドについていけるのか」という懸念を抱く方もいらっしゃるでしょう。

実は、トレンドに追いつくべく、日本の自動車メーカーも頑張っています。

-Connected(コネクテッド)

日本の自動車産業は、日本の輸出総額の15%以上を占める、大変重要で大黒柱のような産業です。

そして、既にご紹介した「コネクテッド化」の点について、自動車大手は通信機能を備えた自動車と通信サービスを展開しています。

<通信機能を備えた自動車・通信サービスの例>
・トヨタ「T-Connect」
・日産「NissanConnect」
・ホンダ「Honda CONNECT」
・スバル「SUBARU STARLINK」
・マツダ「マツダコネクト」

-Autonomous(自動運転)

また、自動運転化についても、以前の記事で紹介しましたように、日本国内では既にレベル4まで許可が下りています

そして、その歩みは世界的に見ても決して遅れをとっていません。

-Shared&Service(シェアリング)

一方でCASEの「S」と「E」、サービス・共有化と電動化について、日本にはまだ課題があると言われています。

例えば、共有化の観点では、車両の所有者と利用者を結びつけて相乗りを行う「ライドシェアリング」の問題があります。

ライドシェアリングは、公共交通サービスが存在しない過疎地域などの特定の条件を除いて、道路運送法によって原則規制されており、なかなか普及していないという実態があります。

サービスについても同様に、様々な規制が存在します。

したがって、今後は、安心安全を守り、かつ質を担保をして課題解決を進めていく方法を考えていかなければなりません。

-Electric(電動化)

また電動化について、日本は元々、EUのような電気自動車一本化政策を取りませんでした

2050年までのカーボンニュートラルの達成に向けては、高性能な電気自動車の技術開発が進められました。

しかし、一方で、内燃機関を残しながらも、カーボンニュートラル達成に貢献できる合成燃料(E-fuel)の開発や、水素エネルギーを用いた自動車の開発も併せて進めてきました。

つまり、事業者にとっても消費者にとっても多様な選択肢を残しながら、環境への配慮も実現するというスタンスをとっているのです。

また、EUも大きく代わりました。

今年の3月には、「脱炭素に向けて2035年以降にエンジン車の新車販売を禁止する」としていた方針を大きく転換しました。

そして、合成燃料(E-fuel)を使用する新車の販売は許可する方向に政策転換しています。

CASEの「E」、電動化はたしかに世界的な自動車業界のトレンドです。

しかし、電気自動車への一本化だけがカーボンニュートラルへの手段ではないことも頭に入れておきたいですね。

おもちゃの自動車と積み木

さいごに

「CASE」についての解説はいかがでしたでしょうか。

これからも、自動車業界のマクロなトレンドに注目していきます!

そして、日本の自動車関連産業と、皆さまの豊かな暮らし、そして経済・産業・環境を守るための政策を考え、実行していきたいと思います。

それでは、次回もお楽しみに!

 

関連リンク

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注目のキーワード解説:【日本初】自動運転『レベル4』解禁へ 運転操作から解放される高度運転自動化とは?
注目のキーワード解説:【e-fuel】合成燃料を徹底解説!日本の未来を拓く合成燃料とは!?
日本版MaaSの推進|国土交通省

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