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【e-fuel】合成燃料を徹底解説!日本の未来を拓く合成燃料とは!?
2023-08-01

【e-fuel】合成燃料を徹底解説!日本の未来を拓く合成燃料とは!?

衆議院議員 今枝宗一郎

衆議院議員 今枝宗一郎がお届けする「注目のキーワード解説」。
「政策用語は難しい。もっと噛み砕いて解説してほしい」そんな声に少しでも応えるべく、スタートアップ、新産業、テクノロジー、最新医療などを中心に、日本の未来を担う学生のみなさんにもわかりやすいように解説しています。

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合成燃料とは、人工的な石油…?

合成燃料とは、CO2(二酸化炭素)とH2(水素)を合成して製造される燃料のことで、 「人工的な石油」も言われております。 石油は埋蔵量が限られている化石燃料で、 燃やすと二酸化炭素などの温室効果ガスを出してしまいますが、合成燃料はCO2を使って人工的に作られるため、カーボンニュートラルで、持続可能な燃料です。

合成燃料が注目されている理由として大きく3つ挙げられます。

①エンジン車で脱炭素ができること
②バスやトラック、船や飛行機など大型モビリティにも強いこと
③既存の燃料インフラであるガソリンスタンドを使用して供給できること

この3つです。カーボンニュートラルな技術の中にはEV、電気自動車の普及なども注目されていますが、 今お伝えした3つは合成燃料を使用する特有のメリットとして差別化されています。また、化石燃料の代替手段として、他にも、動物性や植物性の資源を原料に作られるバイオ燃料なんかも有名です。野菜の油や食べ物のくずを使うこともあります。バイオディーゼルで走るバスなど、みなさんも聞いたことあるんじゃないでしょうか。そして、合成燃料の作り方の中には、他にもアルコールランプでおなじみのメタノールから ガソリンを生成するプロセスなども研究されており、合成燃料の研究は今も広がり続け、深まっています。合成燃料とは、枯渇リスクのある埋蔵石油への依存から脱するために、 あらゆる元素や資源を合成して燃料を生み出す技術とその生成物のことなんですね。地球温暖化の問題や資源の枯渇など、僕たちの未来に関わる大きな課題に向けて、持続可能な合成燃料の開発が進められています。なお、合成燃料は別名で「e-fuel」とも呼ばれているので、調べる際は要チェックです。

燃料

 

合成燃料研究開発のムーブメント

日本の企業の中には既に、合成燃料を活用して持続可能なエネルギーへの転換に取り組んでいるところがあります。その一つが、みなさんもガソリンスタンドのイメージで知っている、「ENEOS」という石油関連企業です。ENEOSは、既存のあらゆる石油製品、ガソリン、ジェット燃料、 軽油などの代替先として、合成燃料開発に取り組んでいます。2040年までの自立商用化を目指して、合成燃料やバイオ燃料の研究開発を加速させています。ガソリンスタンドで合成燃料だと知らずに給油する、なんて時代もそう遠くない未来なんですね。また、日本を代表する自動車メーカー、「トヨタ」も合成燃料の普及に向けてに力を注いでいます。100%合成燃料を充填した自動車を走らせてみせて、PRをしたりと、電気自動車への買い替え、いわゆる「EVシフト」がトレンドの中においても、 既存のエンジン車にもグリーンな燃料として使用が可能な、合成燃料の開発と普及のムーブメントを牽引していこうとしています。もちろん、この他にも多くの日本の企業が合成燃料の開発や研究に着手していて、多くの投資も集まってきています。

ENEOS

 

コスト面での課題が残る合成燃料

日本における合成燃料の普及に向けた課題は、いくつかあります。まず一つ目の課題は、やはり製造コストです。合成燃料の製造には高度な技術や施設が必要であり、製造コストが高くなる傾向があります。そのため、石油由来の燃料と比べて価格競争力が低くなることが現在の課題となっています。二つ目の課題は、製造技術が確立していないということです。合成燃料は基本的に、フィッシャー・トロプシュ合成法(FT法)と呼ばれる方法で生成されます。これは原料を一度ガス化し、再度液体化させるという技術が用いられます。この際に今の技術では、大量のエネルギーを使用してしまうことがあったり、副産物が多く生成されてしまったりという問題があります。そうすると、結果的に生成される燃料の量が少なくなり、コストが高くなってしまいます。

 

商用化の前倒しが実現!合成燃料への高まる期待感

現在、政府では、合成燃料の普及に向けて、 合成燃料の製造技術の開発を支援するための官民協議会を開催しています。政府の掲げる目標としては、2035年の乗用車新車販売での電動車割合100%の目標に合わせて、2030年代に合成燃料の実用化、2040年に商用化の目標を掲げていましたが、グリーンノベーション基金(GI基金)を積極的に活用して、 商用可目標を2030年代前半に前倒しできないか、という検討がなされ、 結果として、2030年代前半に商用化目標を前倒しにすることが決定しました。このことからも、合成燃料が大変期待されていることがわかります。また、国際戦略的には、アメリカやドイツとも合成燃料推進に関する政策対話は今後も続けていきます。

合成燃料は、持続可能な社会の実現に向けて有効な燃料です。将来的には、埋蔵されている石油に頼らずに、車や飛行機に人の手で生み出した燃料が供給されていく、そんな未来になっていくことが期待されますね。そして、そんな未来になれば、エネルギー安全保障の観点からも、 国産の燃料供給網が整備できて、安心な国家運営ができるのではないでしょうか。

ただし、このような技術はまだ研究開発段階にあり、商業化にはさらなる技術革新とコスト削減が必要です。引き続き、日本の民間企業の研究開発を後押しして、 合成燃料が普及し、持続可能な地球環境を作っていく努力をしていく必要があります!

 

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