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2012-11-18

東三河を大切にすることが日本の再生につながる

 たしかに,私は医療・介護のスペシャリストです。教育改革も使命だとおもっています。しかし,問題は社会保障分野に留まりません。日本の医療・介護・教育が政策的に縮小されてきた背景には日本経済の衰退が存在しているからです。私たちは,バブル経済の崩壊以降,失われた10年とも20年ともいわれる長い経済停滞を味わってきました。いやそれどころか,2007年にアメリカで起きたサブプライム危機から始まり,2008年のリーマンショック,そしてギリシャの債務問題から顕在化したユーロ危機と世界経済の減退の中で,日本経済はまだまだトンネルを抜けたといえる状態にはありません。
 まさに,失われた30年へと突入しているといっても過言ではないと思います。いわゆる金融的・経済的な危機の真っただ中で我が国が歩んできた道というのは,医療・介護への支出を抑制することでありました。そのうえ,未来を担う教育・研究開発をおざなりにするということでもありました。これらの財政支出は経済に寄生するものであり,経済成長の足かせとなると考えられてきたのです。
 確かに,自民党から民主党への政権交代には,それまでの自民党が進めてきた政策に対する不満があったのかもしれません。すなわち,医療費を抑制し,要介護認定を厳しくし,教育を軽視するという方針に対して,不満が溜まっていたということです。生活に必要な制度的基盤を突き崩され,経済も低迷するという状況の中で,国民の不満が溜まるのも当然でありましょう。これらの分野は経済の重荷というよりも,むしろ経済発展の礎であるにもかかわらず,です。そのような方針が間違っていたということは,政治家として反省せざるを得ません。しかし,私には,政権交代は何ももたらさなかったばかりか,事態を悪化させてしまったように見えます。
 民主党政権は迷走に迷走を続けてきたと批判されてきました。国民の期待に全くではないにせよ,充分に答えることはできなかったのではないかということは,記録的な現在の支持率を見ればわかります。党内の政争に明け暮れ,公務員に責任を押し付け,単なる政治的アピールを繰り返すばかりで本質的問題には全く手をつけることはできなかったと思います。2011年3月11日の東日本大震災と原発事故を受けとめるならば,日本は大転換期を迎えつつあることはだれもが実感しているところではないでしょうか。しかし,多くの人は,その後ですら民主党は変わることなく,党内の政争を繰り返すだけだったように見えたのではないでしょうか。
 私は消費税を増税する必要がないと考えているわけではありません。しかし,それ以前に医療・介護・教育に対する支出を増加させることが必要であり,そのためには日本経済のありかたそのものを見直さなければならないと主張します。そのことについて,少し詳しくお話しいたしましょう。
 問題の本質は,日本の経済の在り方そのものが,人口減少という現実に対応できていないからだと考えています。愛知県では2009年(平成22年)に失業者数は1万人減少して17万2千人となりました。一見すると経済が好調なように見えます。しかしその一方で,労働力人口が3万人(0.7%)減少していて,労働人口比率も0.6%減少して62.6%となっています。数字を並べて分かりにくいかもしれませんが,失業が改善しているというよりも,働く人が減少しているという現実を認識してほしいのです。
 そして,日本の経済政策の最大の難点は,経済の原動力の一つである人口・労働者人口が減少するという現実に対応できていないということにあると考えるのです。もちろん,かといって,「産めよ増やせよ」と時代錯誤な主張をするつもりはありませんし,そのような政策は実現不可能だと思います。そうではなく,人口減少の最先端にいる日本で,人口減少社会の先進的モデルを構築しようと主張したいのです。
 このことこそが,日本が抱えている問題の本質なのではないでしょうか。つまり,人口減少に伴い経済自体が委縮してしまっているということです。私たちが安心して健康的に生活をするうえで欠かせない医療や,お年寄りに対する介護,未来の日本をつくるための教育に充分なお金が回せないのは,人口の高齢化と人口減少によって経済自体が縮小する局面に入ってしまったからだと考えられています。しかし,本当にお金を回せないのでしょうか。私はそうではないと考えています。成熟した人口減少社会を構築することでそれは可能になると思います。いやむしろ,これらの分野にお金を配分することこそ成熟した人口減少社会の構築を意味するのだと考えているのです。
 人口減少社会への対抗戦略が地域集権です。近年は地元の利益を一番に考えることは利益政治だと批判されてきました。公共事業の誘導がやり玉に挙げられてきました。しかし,これは中央集権体制を前提とした予算の奪い合いを前提としていたからなのです。三位一体改革で不十分であった地方への財源の移転,さらには特定補助の廃止と一般補助の充実といった補助金改革が必要です。そうすれが,地域のことを考えることが日本の再生そのものを意味するようになるからです。だから,私は東三河のことを大切に政策を練り上げていきたい。医療崩壊の阻止,介護の充実,教育,子育てをしやすく,卒原発,必要なインフラの整備。これらは東三河のみなさまの必要だという声をくみ取ったものなのです。

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