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「レアアース」簡単解説!“資源大国日本”への鍵にも!?
2023-09-26

「レアアース」簡単解説!“資源大国日本”への鍵にも!?

皆さんは、「資源大国」と聞いてどこの国を思い浮かべるでしょうか。
もしかしたら、「資源大国、日本」と続くことには違和感がある方は多いかもしれませんね。
しかし、実は日本を資源大国へと導く豊かな資源が確認できているのをご存知でしょうか。
その名は、「レアアース」
今回はこの「レアアース」について、その意味や注目される背景事情、安定供給に向けた課題などを簡単に・わかりやすく解説していきます!

レアアースとは?レアメタルとの違い

レアアースは別名を希土類とも呼ばれ、レアメタル(Rare Metal)の一種で、スカンジウム、イットリウムなど17元素の総称のことです。
その名のとおり、希少価値が高く、混合酸化物から分離するのが難しいという特徴があります。

【元素記号表】
元素記号表
【参照:世界の産業を支える鉱物資源について知ろう|エネルギー安全保障・資源|スペシャルコンテンツ|資源エネルギー庁】

 

レアアースの用途について

その用途は実に幅広く、レアアースはテレビやパソコン、次世代自動車などの、主にハイテク製品に使用されることが多いです。
つまり、私たちの文明社会を支えている非常に大切な資源であるといえます。
レアアースの主な用途のついての解説画像
【参照:レアアース希土類|経済産業省】

しかし、現時点では、レアアースは日本国内での生産はほとんどされておらず、大半が海外からの輸入に頼っている現状です。
特に中国の存在は大きく、中国は、世界的に見てレアアースの生産量、埋蔵量ともに大きなシェアを占めています。

【日本のレアアース輸入における中国依存度(2018年)】

「日本のレアアース輸入における中国依存度(2018年)」についての図説
【参照:日本の新たな国際資源戦略 ③レアメタルを戦略的に確保するために|資源エネルギー庁】

 

レアアースへの関心が高まっている背景 中国依存からの脱却

「レアアース」という言葉自体はずっと以前から知られていましたが、近年より関心度が高まっている背景に、中国との関係性の問題があります。
少し前の話ですが、2010年に中国から日本に対してのレアアースの輸出が、一時的に制限されたことがあり、その時期に「レアアースの中国依存から脱さないといけない」と、世論の危機感が一層高まったのです。
当時は、アメリカもレアアースの中国一国依存から脱却すべく、休止させていたレアアース鉱山の操業を再開するなど、政策的な動きを見せました。

我々日本としても、レアアース及びレアメタルの安定供給確保に向けて、

・独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構、通称「JOGMEC」を通じた資源探査
・民間企業の資源開発プロジェクトへの資金の援助
・資源外交を通じた資源国との関係強化
・リサイクルや使用量を減らすことに繋がる技術開発の推進

などに取り組んできています。

 

 

日本も資源大国に!?採掘権を守るための法改正も施行

もしかしたら、皆さんは「日本は資源がない国」だという漠然としたイメージをお持ちかもしれません。
しかし、案外そうでもないことが分かってきました。

実は、本の最南端の南鳥島付近の海底でレアアースの埋蔵が確認されているのです。
しかもかなり膨大な量が埋まっているとのことで、大いに期待できます。

そして、この採掘の利権を守るための法改正などは既に施行されています
2022年の通常国会で、鉱業法の改正が行われ、資源の採掘を経産相の許可を得た事業者に限って認める規制に、新たにレアアースが追加されました。

これまでの鉱業法では、国内でのレアアースの採掘は想定されていなかったため、規制の対象外で許可なく試掘や採掘されるリスクがありました。
しかし、この法改正がレアアースの採掘の権利を守ることに繋がります

 

レアアース安定供給に向けて 今後の課題

「資源大国日本」への期待は高まるばかりですが、日本の海底に眠っているレアアースを採掘するには、実際まだまだ壁が高いといえます。
特に技術的な課題は大きく、海底の採掘は陸上の採掘とは比べ物にならないほどの困難があります。

なぜなら、海底は水深が深く、高水圧、低温、酸素欠乏などの過酷な環境条件下にあり、当然人の手では掘ることができません。
採掘を行うためのロボットをつくるにしても、その高負荷な条件でも耐えうるものにする必要があります。
また、生態系や海洋環境への配慮も当然求められます。
これらの要素を考慮しながら、安全かつ効率的な採掘技術の開発が要求されるわけですから、すぐに「資源大国、日本」を実現することはできません。

したがって、これらを徹底的に後押しできるよう、海洋資源の利権を守りつつ、採掘技術への積極投資を進めて、レアアースを新産業として育てていく必要があると思っております。

海底生態系のイメージ画像
 

関連リンク

YouTube:元素表で習った!?ハイテク製品を支える【レアアース】は日本の海にあり

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