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【資源不足に光明か!?】燃える氷 「メタンハイドレート」
2023-12-08

【資源不足に光明か!?】燃える氷 「メタンハイドレート」

見た目は氷とそっくりなのに、火を近づけると炎が上がる「メタンハイドレート」

そのような摩訶不思議な物質が、今、将来的に本の資源不足解決する救世主となるのではないかと、期待されています。

さらに、実はこのメタンハイドレート、私の地元、愛知県にも大きく関係するトピックでもあるのです。

そこで今回は、現文部科学副大臣・今枝宗一郎が、メタンハイドレートについての基本的な情報や、活用に向けての課題について簡単に・わかりやすく解説します。

ぜひ一緒に学んでいきましょう!

↓こちらの動画でもわかりやすく解説しています
YouTube:【次世代エネルギー】燃える氷 メタンハイドレートって何ですか?

メタンハイドレートとは?

メタンハイドレート
【出典:メタンハイドレート資源開発研究コンソーシアム】

まずは、メタンハイドレートの意味について確認していきましょう。

メタンハイドレートとはその名の通り、天然ガスの主成分でエネルギー資源である「メタンガス」が水分子と結びつくことでできた、氷状の物質です

火を近づけると燃えるため、「燃える氷」とも呼ばれます。

 

メタンハイドレートの2つの種類

砂層型メタンハイドレートと表層型メタンハイドレートの様態
【出典:メタンハイドレートとは?|産総研】

天然の海域に存在するメタンハイドレートは、主に砂層型メタンハイドレート表層型メタンハイドレートの2種類があり、これらは主に存在する海底下の深度や形状が異なっています。

砂層型メタンハイドレートは、海底下の砂や、岩と泥岩が交互に積み重なった、“構造砂泥互層”の堆積物の粒子の隙間を埋めるように存在しています

日本では主に太平洋側に多く発達していることが知られており、私の出身地である愛知県の渥美半島沖にも、多くのメタンハイドレートが眠っていると言われています。

一方の表層型メタンハイドレートは、海底表層付近に生成され、泥層の中に塊状で存在するものが多いと考えられています。

日本政府は、元々砂層型のメタンハイドレートの活用を想定していましたが、日本海側にもこの表層型メタンハイドレートが多く眠っていることが分かりました。

現在は、砂層型のものよりも遅れて、表層型メタンハイドレートの採掘技術の開発が進められています。

メタンハイドレート、日本の近海に大量に存在?資源不足に光明か

ちきゅう
このメタンハイドレート、実は日本の周辺の海域に大量に存在しています

更には、海底からメタンハイドレートを取り出し、エネルギー資源として利用するための研究において、

日本は世界の最先端を走っています

エネルギー自給率がとても低く、エネルギー資源のほとんどを海外からの輸入に頼っている日本にとって、

自国の領海内にある資源はとっても貴重な存在ですから、研究にも力が入ります。

そして、実は愛知県蒲郡市の港は、研究施設の拠点となっています。

基地の中心となる事務所もつくられ、そこから探査船が出航し、砂層型の調査しています。

探査船は、「ちきゅう」と名付けられ、様々な機能を搭載しているユニークなものです。

過去には、子どもたちに向けて、体験乗船イベントが催されたこともあります。

皆さまも、ぜひHP等で「ちきゅう」の体験学習についてチェックしていただくと、貴重な機会に巡り合えるはずです。

メタンハイドレートをめぐる今後の課題とは

考え事をするスーツ姿の男性

ここまで読んでいただくと、「メタンハイドレートが日本でたくさん採れるのであれば、日本の資源問題も解決か?」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、メタンハイドレートをめぐっては、課題もあります。

まずは、コスト面

メタンハイドレートは固体で、石油のように井戸を掘れば噴き出すわけではありません。

つまり、取り出すにはこれまでにない新しい技術が必要なのです。

加えて、存在する場所も深い海の底などですから、その場所を探すためにも高度な技術を要します。

砂層型メタンハイドレートと表層型メタンハイドレートでは、それぞれ別の採掘技術が必要になるため、コストも大きくなります。

将来的に企業のビジネスとして成り立たせて、最終的に利用者がメタンハイドレート由来の天然ガスを選べるようになるまでには、効率化を進めるなどの工夫により、高いコストを抑えていく必要があるでしょう。

また、表層型メタンハイドレートについては、日本海外側に多く存在しているため、中国側が権益を主張してくるリスクがあります。

したがって、我が国固有のEEZ(排他的経済水域)で採掘できる表層型メタンハイドレートについては、日本の資源であることをしっかり伝えつつ、研究開発を急いでいかなければなりません。

上記で挙げたように、依然として課題は多いものの、今後メタンハイドレートをエネルギーとして利用できるようになれば、

国内におけるエネルギーの安定供給にはもちろん、二酸化炭素の排出削減にも役立つことは間違いありません。

今後も技術開発を進め、商業化への道筋を模索していくことが重要です。

 

関連リンク

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2014-12-02ブログ「メタンハイドレート実用化へ飛躍的推進」
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